春は気温の寒暖差で免疫システムの不調を起こしやすく、また冬の間の乾燥により皮膚のバリア機能が低下していることから、アレルギーなどの皮膚トラブルが増えてくる季節でもあります。
皮膚トラブルの改善をはじめ、健やかな体を保つには「菌活」が大切です。
体に常在する菌は約1,000兆個とも言われ、ヒトの体を構成する細胞(約30兆個)よりもはるかに多い菌たちが存在します。
その菌たちの存在も、人間の体の一部として捉える考え方があります。
そして皆それぞれが菌たちの恩恵を受けながら健康を維持しています。
常在菌たちを味方につけるか否かは宿主である私たち次第。
菌たちに「私」と上手く共存してもらうために大切なのは、そのバランス。
常在菌とうまく付き合っていくために、日頃から「菌活」に気を配り、バランスを整えることで「体が自ら治す力=治癒力」を正常化しましょう。
動物たちは食べるものや環境などを自分で調整できないので、飼い主さんが十分にケアしてあげてくださいね。
【菌の種類】
菌が多い場所は口と腸ですが、それ以外にも皮膚、喉、鼻、尿道など体のあらゆるところに存在しています。
常在菌の種類を大別すると以下のとおりです。
・善玉菌(ホルモンの代謝・消化吸収の助け・便通改善etc):ビフィズス菌、乳酸菌etc
・悪玉菌(ビタミンを合成・たんぱく質の分解・感染症予防etc):大腸菌・ブドウ球菌etc
・日和見菌(善玉菌悪玉菌のバランスを取る):カンジタ菌・バクテロイデス菌・連鎖球菌・クロストリジウムetc
【理想的なバランス】
常在菌を味方につけ、上手く共存していくためにはバランスが鍵となっています。
その理想的なバランスは
善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%
だと言われています。
常在菌が体に悪影響を及ぼしてしまうのはこのバランスが崩れるから!!
口腔内においても虫歯菌(悪玉菌)が存在するだけでは悪さをせず、ほかの常在菌とのバランスが崩れて増えすぎることで虫歯を引き起こすことがわかっています。
腸は栄養の消化吸収だけではなく、第2の脳と言われるほど、免疫、ホルモン、自律神経など、さまざまなものをコントロールしている重要な場所です。
昨今、腸内細菌のバランスが健康に影響することが知られるようになり「菌のバランスを整える=腸活」に気を配っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
でも、その大切な腸内細菌のバランスコントロールにおいて、口腔内細菌も影響していることはあまり知られていません。
【口はいのちの玄関口】
食べること=生きること
口はいのちの玄関口です。
口の中は腸に次いでたくさんの細菌が存在します。一番初めに外から菌やウィルスが入り込む場所であることから、腸よりも細菌の種類がバラエティーに富んでいると言われています。
人は毎日約1.5Lもの唾液を飲み込んでいます。
唾液とともに飲み込まれた口腔内細菌は、胃酸や胆汁酸などの体の自然なバリア機能により、腸に入る前に死滅していると考えられていましたが、近年遺伝子の解析技術が進み、口腔内細菌が腸内細菌の中にも存在することが明らかになりました。
バリア機能をすり抜けた歯周病菌などは、腸内細菌のバランスの不具合を引き起こすだけでなく、歯周病などが原因で発生した炎症物質が血液に入り込むことにより、皮膚病・心臓病・糖尿病・がん・腎臓病・脳のトラブルなどのさまざまな重大な病気に直接的に影響することもわかってきました。
口の中の炎症が離れた場所の症状や病気を引き起こすものを「病巣感染・病巣疾患」と言います。
因果関係を突き止めるのは難しく、まだまだ周知はされていませんが、腎臓や皮膚トラブル、免疫系トラブルなどの原病巣は口腔や咽頭の炎症にあると考えられています。
口腔内や喉は外部の菌やウィルスをブロックする働きを担う第一関門です。
日常で添加物を避けて良いものを食べていても、口腔内が不健康ではせっかくの腸活も不十分となってしまいます。
口腔内を健康にすることによって有害物質が体内に侵入しにくくなり、感染症などの予防に繋つながります。
また、ほぼ腸でつくられる免疫細胞の働きや、脳の神経系といった情報交換役割を担う各部位もBESTな状態になるのです。
このように体は腸や脳、また口腔などがそれぞれ影響し合い、繋つながっているため、「腸活」や「口腔内ケア」を通じた菌活は生き物の寿命をつかさどると言っても決して過言では無ないと思います。
動物たちが腸や皮膚の疾患、ストレスなどによるトラブルを抱えていたら、まずは口腔内に目を向けてみることが解決につながる重要な近道になるかもしれません!
次回はその重要な「口腔内ケア」の方法などについてご紹介いたします。
外は徐々に春の花が咲いてまいりました!
「♪梅~は~咲いたか、♪桜~は~まだかいな~♪」
また次回です。